
「アガペー」というギリシア語の意味を明らかにし、独自の視点に立って新約聖書を新しく読み直す。アガペーで一貫したイエス像に従う、新たなキリスト者の在り方を探る意欲作。
「違いがなくなったら、尊び愛す」のではなく、「尊び愛せば、違いはなくなる」のである。「敵でなくなったら、尊び愛す」のでなく、「尊び愛せば、敵でなくなる」のである。……世界中が一致して一色であるものを尊び愛すことは或る意味では貧困である。そうではなく、多彩な世界を尊び愛すことこそが真に豊かであろう。(本文より)
《著者紹介》
遠藤 徹(えんどう・とおる) 1938年生まれ。東京大学大学院博士課程哲学専攻修了。山口大学教授、聖心女子大学教授、同大学キリスト教文化研究所所長などを歴任。現在、山口大学名誉教授、聖心女子大学キリスト教文化研究所所員。 著書に『人格と性─結婚以前の性の倫理』(聖公会出版、2000年)ほか。